水いぼは、正式には伝染性軟属腫という小さな水疱ができるウィルス性の病気です。このウィルスはポックスウイルス科に属しており、今は根絶された天然痘と同じ科になりますが、みずいぼの感染力は弱く、数ヶ月から数年で自然に消えてしまうとされています。特に後遺症もありません。感染は接触感染で、皮膚から直接以外に、ビート板やタオルでも感染すると言われています。潜伏期は2週間から1ヶ月半程度のようです。大人の場合は、まず発症しませんが、免疫不全状態のAIDSなどでは発症することが知られています。
自然治癒する病気ですが、問題は多少のかゆみが出ることがあって、それで子供が掻き壊すと、周囲に広がります。親や医師が「掻かないように。」と言っても、子供はなかなか我慢できませんので、かゆみが強くて掻き壊す場合には、水いぼの積極的な治療がオススメです。
水いぼの治療は、色々ありますが、当院では局所麻酔のテープを貼り、1時間ほどおいてから専用の器具でつまみ取ります。多少の出血がありますが、採血のときと同じくらいの出血のことがほとんどで、絆創膏のようなテープを貼っておしまいです。治療当日の夜でも、シャワーなどの制限はありません。むしろ創部をキレイに洗い流した方がよいと考えています。数があまりにも多い場合には、子供がジッとしてくれる時間がそれほど長くないので、複数回に分けて実施します。かゆみがあまり強くなく、数が多くない場合(当院では5個くらいまで)は様子をみることも提案しています。
いぼと言えば、他にも老人性疣贅(単純に言えば皮膚の老化)、尋常性疣贅(パピローマウィルスという別のウィルスが原因)などがあり、液体窒素などでの冷凍凝固治療も有名です。当院でもこれらの治療は可能ですが、子供の水いぼについては、冷凍凝固療法は実施しておりません。冷凍凝固治療は病変部に凍傷を起こして治す治療なのですが、その範囲や深さを間違えると正常な皮膚まで凍傷を起こして、傷跡を残すことになります。水いぼはとても小さいですし、子供もジッとしていられないので、とても難しいと考えているからです。